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2005.10.15

劇団☆新感線「吉原御免状」

yoshiwara  東京の楽日の前日(10月4日)に「吉原御免状」を観てきました。劇団☆新感線の舞台を観るのは,昨年末のSHIROHに続いて2度目。今回は新感線のお家芸とも言えるギャグは少なく,至って真面目。しかし,大音量のロックに大胆な照明,そしてよくできた装置(またしても堀尾幸男)や衣裳,さらには豪快な殺陣--華やかさとダイナミックさで観客の五官を刺激するケレン味たっぷりの「いのうえ歌舞伎」は,上質のエンターテイメント。今回もたっぷりと楽しませてもらいました。ただ,意外と感動の底が浅かった気が…。観劇後,「この芝居のテーマはいったい何だったのか?」と考えてみたところ,よくわからなくって…(←そんなヤツは私だけ?)。

 この芝居,隆慶一郎の小説を原作にしていますが,新感線が原作のある作品を演るのは初めてだとか。私は原作を読んでいないので断言はできないけれど,そもそも原作のスケールが大きすぎたのでは?(以下,ネタバレありです)特に2幕目の松永誠一郎(堤真一)が傀儡師(くぐつし)の歴史を紐解く場面で,夢で幻斎(藤村俊二)の若かりし日を体験するという設定がピンと来なくて…。だって,夢の中で誰か他人になり代わるって,現実的にはありえないでしょ?(少なくとも私は生まれてこのかたそんな夢を見たことはありません)だからその翌朝,高尾太夫が「誠一郎の夢に自分が出てこなかった」と嘆くシーンがある(←なんで高尾太夫は誠一郎の夢に自分が出てこなかったことがわかるの~?とツッコミたいのだが)けれど,誠一郎は幻斎の過去を追体験しているだけなんだから,嘆く必要ないじゃん…と思ったりして。

 結局,松永誠一郎という肥後の山中で育った剣の達人が江戸の遊廓・吉原で,自分の出生の秘密を知ったり,人を愛することを経験したりして,人間的に成長していくのが芝居の中心軸で,それに奇想天外なストーリー展開と大胆な歴史設定を絡ませて進行させていくのだけども,(おそらくは原作の最大の魅力であろう)大胆な歴史設定の説明部分と,芝居の肝の部分との関係性が稀薄な印象は免れないんですよね。…かと言って,歴史設定の説明を抜きにしたら,原作の醍醐味が骨抜きになってしまうところが痛し痒しなんだろうな。それに高尾太夫(京野ことみ)やエスパー的なおしゃぶ(田畑亜弥)の存在(人間描写)が中途半端だし,ラストももっと余韻を残したいところ。勝山太夫(松雪泰子)を殺した柳生義仙(古田新太)に対して,誠一郎の怒りや憎しみが爆発する場面がこの作品の心理描写的な頂点で,さすがにここはググッと胸に迫るモノがあったけれど,その他は謎解きに終始している感じで,登場人物に感情移入できたり,自分の琴線に触れるような場面が意外と少なかった気が…。

 そうは言っても,(初見のせいもあって)最初から最後まで集中力が途切れることなく芝居に入り込めたし,役者達の演技も含めて,ヴィジュアル的には見応えバツグン!きっと堤真一ファンにはたまらない舞台でしょう。それに吉原が“傀儡師たちの城”というユニークな説が実に新鮮で,しかも非常に説得力があったので,観に行っただけの価値は充分ありました。

 あとはパンフレット,高すぎ&デカすぎ!2,700円もするなんて…。しかもデカすぎて収納するのが大変!内容的にもそれほどの価値があるとは思えないっ!写真は別途写真集でも出してくれ~い!

舞台の様子はこちら,もしくはこちらで。

原作 隆 慶一郎
脚色 中島かずき
演出 いのうえひでのり
出演 堤 真一 松雪泰子 古田新太 京野ことみ 梶原 善 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 藤村俊二 他

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Comments

こんにちはー!またお邪魔します。
TB再チャレンジしてみたのですけど、やっぱりダメみたいです。
なので、コメントだけで失礼いたします(汗)。
たぶん、私の方の問題だと思うのですが、すいません。

で、この芝居の感想、私もやっぱり少し物足りない気がしたんですよ。
水準以上の舞台だとは思うんですけど、俳優に比べて女優の力がやや弱かったなぁ~と。

>パンフレット,高すぎ&デカすぎ!
>写真は別途写真集でも出してくれ~い!

これ全く同感です(笑)。

Posted by: snowflower_001 | 2005.10.17 11:21

snowflower_001さん,またまたいらっしゃいませ~。
今回はバッチリTBできてますよ!安心してくださいね。

snowflower_001さんが同じような感想をお持ちでホッとしました。私は脚本が弱いのかなと思ったのですが,女優陣のせいもあったのかもしれませんね。snowflower_001さんの記事を読んで,なるほど~と思いました。これからもお互いにホンネモードで行きましょうね!どうぞよろしく!

Posted by: ばけらった | 2005.10.18 00:44

夢の中の幻斎ですか。あれは、幻斎が「知ってる人がでてくるよ」って前ふりの台詞があって(俳優節約のためそうしたのだと思いますが)、幻斎が、高尾にいう「夢にでてくる女もいる、夢を支える女もいる」ってな台詞につながっていくのかな〜などと。「夢」の台詞は原作になかったです。作者オリジナルかな??結構、私は、気に入ってました。

Posted by: | 2005.10.18 13:20

悠さま,はじめまして。
コメント,どうもありがとうございました。
確かに役者節約というか,堤さんの出番を増やすためにああいうふうにしたのかなと思ったのですが,「夢」の台詞は原作にはなかったのですね。

私はあのシーンがうまくつながっていない気がしたのですが,悠さんは気に入られたのですね。こういうふうに人それぞれ感じ方が違うから,面白いんですよね。今回はいろいろと教えていただいて参考になりました。これからもご意見をうかがわせていただけるとうれしいです。どうぞよろしくお願いします。

Posted by: ばけらった | 2005.10.19 22:26

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